オペア経験で得たもの


オペアに挑戦するべきか

今この記事を読んでいるあなたは、きっとオペアに参加するかどうかを迷っているのではないでしょうか。

「海外に住んでみたい」
「英語を伸ばしたい」
「できるだけ費用を抑えて留学したい」
「子どもと関わる仕事に興味がある」

そんな思いで、オペアという選択肢にたどり着いた方も多いと思います。

もしくは、娘さんや息子さんが「安く海外に行ける方法」としてオペアを調べてきて、「本当に大丈夫なの?」「怪しくないの?」と不安に感じている保護者の方かもしれません。

結論から言うと、私はオペアに興味があるなら、ぜひ挑戦してみてほしいと思っています。

ただし、誰にでも無条件でおすすめできるわけではありません。オペアは、語学留学やワーキングホリデーとは少し違います。海外で生活しながら、ホストファミリーの子どもをお世話するという責任のある制度です。

そのため、目的や性格によっては、オペアがとても合う人もいれば、思っていたものと違ったと感じる人もいると思います。

オペアは「安い留学方法」という面だけで見ると、少し誤解されやすい制度かもしれません。たしかに、他の留学方法に比べて費用を抑えやすいのは大きな魅力です。けれど実際には、海外の家庭に入り、子どもと関わりながら生活する、とても責任があり、学びの多い経験です。

だからこそ、良い面だけでなく、向き不向きも含めて正直に書いていきたいと思います。

この記事では、私自身の経験をもとに、なぜ私がオペアをおすすめしたいのか、そしてオペアに向いているのはどんな人なのかについてお伝えしていきます。

私がオペアを勧める理由5つ

アメリカから帰国して、もう10年以上が経ちました。

渡米を決めた頃、アメリカで生活していた頃、そして帰国してからの年月を振り返るたびに、オペアとして過ごした経験は、私の人生にとってかけがえのないものだったと実感します。

私は25歳の時に渡米し、27歳で帰国しました。ホストファミリーとは丸2年間一緒に生活し、2人の男の子の兄弟をお世話していました。

帰国後は英語教育に関わる仕事をし、今は結婚して一児の母になりました。自分自身が子どもを持ってみて、改めてオペアの経験は、特に出産後の生活や子育てにも役立つことが多かったと感じています。

オペアは、英語力を伸ばしたり、海外生活を経験したりするだけの制度ではありません。ホストファミリーと生活を共にし、子どもたちと関わる中で、自分の価値観や考え方にも大きな影響を与えてくれる経験です。

ここからは、私がオペアをおすすめする理由を5つご紹介します。

①人として成長できる
私がオペアに行ってよかったと思う一番の理由は、人として大きく成長できたことです。

私がオペアに行くと決めたのは24歳の時でした。24歳といえば、大学を卒業し、社会人経験も少しある年齢です。自分ではもう十分大人のつもりでいました。

でも今振り返ると、人としてはまだまだ未熟だったと思います。考え方も狭かったし、自分の価値観だけで物事を見ていた部分もたくさんありました。

人の脳は、だいたい25歳前後まで発達が続くと言われています。特に最後まで発達するのが前頭前野と呼ばれる部分で、判断力、計画性、感情のコントロール、衝動を抑える力、先を見通す力などに関わるところです。

そんなまだ成長途中の時期に、海外で他者と共同生活をし、さらに子どもがいる家庭の中で暮らしたことは、私にとってとても大きな経験でした。

オペアは、ただ海外に住むだけではありません。ホストファミリーと生活を共にし、子どものお世話をしながら、毎日いろいろな場面で自分の未熟さや価値観の違いに向き合うことになります。

思い通りにいかないこともあります。言葉がうまく伝わらないこともあります。自分の常識が通じないこともあります。子ども相手だからこそ、感情的にならずに対応する力や、相手の立場に立って考える力も必要になります。

そうした日々の中で、少しずつ忍耐力や責任感、柔軟に考える力が育っていったように思います。

もちろん、オペア生活は楽しいことばかりではありません。でも、若い時期に家族の中に入り、子どもたちと関わりながら海外で暮らした経験は、私の考え方や人との向き合い方に大きな影響を与えてくれました。

英語力や海外経験だけではなく、人として成長できること。これこそが、私がオペアをおすすめしたい一番の理由です。


②比較的安全に海外に住める
オペアの魅力のひとつは、比較的安心して海外生活を始められることです。

アメリカは、住む地域によって治安や生活環境が大きく異なります。語学留学やワーキングホリデーの場合、自分で住む場所を探す必要があり、土地勘がない中で安全なエリアを判断するのは簡単ではありません。

その点、オペアはホストファミリーの家に住み込みで生活します。ホストファミリーは子どものいる家庭であり、必ずしも裕福な家庭ばかりではありませんが、年間で日本円にして400万円前後の費用を負担してオペアを受け入れる家庭です。

また、子どものいる家庭では、学校区や周辺環境を考えて住まいを選んでいることも多く、比較的落ち着いた住宅地で生活できるケースも多いです。もちろん、どの家庭・どの地域でも絶対に安全というわけではありませんが、渡航後すぐに住む場所があり、現地の家族のサポートを受けながら生活を始められるのは大きな安心材料です。

初めての海外生活では、住む場所、交通手段、生活ルールなど、分からないことがたくさんあります。そうした中で、現地の家庭に入って生活できるオペアは、完全に一人で海外生活を始めるよりも、比較的安全で現実的な選択肢だと思います。



③経済的負担が少ない
オペアの給与自体は決して高額ではありませんが、家賃、光熱費、食費などの生活費が基本的にかからないため、他の留学方法と比べると経済的な負担をかなり抑えることができます。

語学留学の場合は、学費に加えて滞在費や食費、交通費なども自分で負担する必要があります。ワーキングホリデーでも、渡航後すぐに仕事が見つかるとは限らず、最初の生活費をある程度用意しておく必要があります。

その点、オペアはホストファミリーの家に住み込みで生活するため、渡航後の大きな固定費を抑えられるのが大きな魅力です。家によって異なりますが、車を貸してもらえることも多く、ファミリーと一緒に外食をする場合は食事代を出してもらえることもあります。

もちろん、自分の娯楽費や交際費、旅行費などは必要になりますが、生活の基盤となる住まいと食事が用意されているのは、とても心強いポイントです。海外生活に挑戦したいけれど、費用面が不安という人にとって、オペアは比較的チャレンジしやすい選択肢だと思います。

④子育てや、子どもがいる生活を体験できる
オペアの大きな魅力のひとつは、子育てや子どもがいる生活を間近で体験できることです。

年の離れた兄弟姉妹がいる場合などを除けば、独身の間に子どもと一緒に生活する機会はあまり多くありません。友人や親戚の子どもと少し遊ぶことはあっても、実際に子どもがいる家庭の日常を知る機会はなかなかないと思います。

子どもがいる生活は、経験してみないとなかなか実感が湧きません。特に乳児がいる家庭では、気軽に外出するのも難しかったり、夜泣きで生活リズムが崩れたりすることもあります。幼児や小学生でも、学校や習い事の送り迎え、食事、寝かしつけ、きょうだいげんか、体調不良など、日々の生活の中には本当にいろいろなことが起こります。

オペアとして家庭に入ると、ホストファミリーがどのように協力して子育てをしているのか、どんなことで悩み、どうやって解決しているのかを間近で見ることができます。そして、ただ見るだけではなく、自分自身も子どもたちのお世話をする立場として、その生活に参加することになります。

これは、単なるベビーシッターの経験とも少し違います。子どもと数時間だけ関わるのではなく、朝の準備、学校やデイケアへの送迎、放課後の過ごし方、夕方の慌ただしさなど、家族の生活の流れの中に入るからこそ見えてくるものがあります。

将来子どもを持ちたい人にとっても、子育てに興味がある人にとっても、子どもがいる暮らしを若いうちに体験できるのは、とても貴重な機会だと思います。海外生活をしながら、家族や子育てについて考えるきっかけにもなる。これも、オペアならではの大きな価値だと思います。


⑤アメリカ文化に触れられる
オペアとして生活する大きな魅力のひとつは、アメリカ文化をとても近い距離で体験できることです。

語学留学やワーキングホリデーでも、もちろん異文化に触れる機会はあります。けれど、オペアのホームステイで得られる異文化体験は、それとは少し違います。なぜなら、ホストファミリーの家に滞在するだけでなく、子どものお世話を通して、家族の日常そのものに深く関わるからです。

アメリカの家族はどんなふうに暮らしているのか。子どもにどんな声かけをするのか。食事、家事、学校生活、休日の過ごし方、しつけや教育の考え方など、子育ての中にはその国の文化や価値観がとてもよく表れます。

日本でも外国人と関わる機会は増えていますが、実際に一緒に生活し、家族の一員のように日々を過ごす経験はなかなかできません。ましてや、子どもの成長を支える立場として家庭に入るからこそ、表面的な文化体験ではなく、もっと生活に根ざしたリアルなアメリカを知ることができます。

一人暮らしと家族暮らしでは、同じ国に住んでいても見える景色がまったく違います。料理や買い物、掃除といった日常の家事ひとつをとっても、単身生活と子どものいる家庭では大きく変わります。

オペアは、ただアメリカに滞在するだけではありません。アメリカの家庭に入り、子どもたちと関わりながら、その家族の暮らしや価値観を間近で見て、時には一緒に参加することができます。これは、オペアだからこそ得られる、深い異文化体験だと思います。                                                                                      


オペアに向いている人

オペアに向いている人の特徴として、特に大切だと思うのは次の2つです。

子どもが好きな人
人とコミュニケーションを取るのが好きな人

まず、「子どもが好き」というのは、とても重要だと思います。

厳密に言えば、子どもが大好きでなくてもオペアになることはできるかもしれません。でも、子どもが苦手な人にとっては、かなり大変な生活になると思います。なぜなら、オペアは他人の子どものお世話を週に最大45時間する仕事だからです。

もちろん、子どもが好きなだけでオペアが務まるわけではありません。責任感、忍耐力、体力、柔軟性も必要です。それでも、仕事内容を考えると、「子どもと関わることが好き」という気持ちは、かなり大事な要素だと思います。

子どもは思い通りに動いてくれません。泣くこともありますし、わがままを言うこともあります。何度言っても同じことを繰り返すこともあります。そういう場面でも、「大変だけど、やっぱり子どもはかわいいな」と思えるかどうかは、オペア生活のしんどさを大きく左右すると思います。

もし「子どもは苦手だけど、海外に行きたいからオペアを考えている」という場合は、かなり慎重に考えた方がいいと思います。オペアは、安く海外に行くためだけの制度ではなく、子どもの命と生活を預かる責任のある仕事です。

仕事として割り切って、責任を持って子どもと関われる自信があるなら挑戦するのも一つの選択肢です。ただ、ホストファミリーとのインタビューでは、自分がどのくらい子どもと関わることに前向きなのか、どんな経験があるのかを正直に伝えることが大切だと思います。

そしてもう一つ大事なのが、人とコミュニケーションを取るのが好きかどうかです。

これは「子どもが好き」ほど必須ではないかもしれませんが、コミュニケーションを取ることが好きな人の方が、オペア生活にはかなり向いていると思います。実際、その方がホストファミリーとの関係も築きやすく、オペアライフを楽しみやすいです。

オペアは、出会ったばかりの他人と一つ屋根の下で暮らす制度です。それも数日や数週間ではなく、最低でも1年間です。どれだけ良いファミリーでも、生活習慣や価値観の違いは必ずあります。

小さな違和感や不満をそのままにしておくと、すれ違いや衝突につながることもあります。だからこそ、日頃から会話をすること、分からないことを確認すること、自分の気持ちや考えを伝えることがとても大切です。

オペアを考えている人は、英語力を気にする人が多いと思います。もちろん英語力も大切です。でも私は、英語力よりもまず、人と人とのコミュニケーションがうまくできるかどうかの方が、はるかに重要だと感じています。

英語はあくまでツールです。

大切なのは、どんなことを考え、それをどう相手に伝えるのか。相手の言葉から何を受け取り、どう返すのか。完璧な英語でなくても、相手に伝えようとする意思や、理解しようとする姿勢があるかどうかです。

そうした姿勢が、ホストファミリーとの信頼関係を作っていくのだと思います。

反対に、人と話すことが極端に苦手だったり、自分の気持ちを伝えることを面倒に感じたりする人は、オペア生活をしんどく感じやすいかもしれません。海外生活そのものよりも、ホストファミリーとの共同生活が負担になる可能性があります。

オペアに向いているのは、英語が完璧な人ではありません。子どもと関わることに前向きで、人と向き合いながら生活していける人だと思います。

リマッチも選択肢にいれておく

オペア生活は、ホストファミリーによって大きく変わります。

どれだけ事前にインタビューを重ねても、実際に一緒に生活してみないと分からないことはたくさんあります。生活習慣の違い、子育て方針の違い、仕事内容への認識のズレ、コミュニケーションの取り方など、思っていた以上に合わないと感じることもあります。

もちろん、まずはお互いに歩み寄ることが大切です。小さな違和感や不満がある場合は、早めに話し合い、改善できるところは改善していく努力も必要です。

それでも、どうしてもうまくいかないこともあります。お互いが歩み寄ってもうまくいかなかったり、何かのトラブルをきっかけに信頼関係が崩れてしまったりすることもあります。

オペアには「リマッチ」という制度があります。リマッチとは、今のホストファミリーとのマッチを解消し、新しいホストファミリーを探すことです。理由はさまざまで、相性の問題、仕事内容の認識違い、生活ルールの違い、コミュニケーション不足、トラブルによる信頼関係の変化などがあります。

実際に、私が入ったホストファミリーも、前任のオペアからリマッチをした家庭でした。理由は、赤ちゃんのお世話中の事故でした。前任のオペアが0歳の赤ちゃんをおむつ替え台の上に寝かせたまま目を離してしまい、赤ちゃんが頭から落ちてしまったそうです。

幸い大事には至らなかったようですが、子どもの安全に関わる出来事は、ホストファミリーにとって非常に大きな問題です。その事故をきっかけに、ファミリーとの信頼関係を続けることが難しくなり、リマッチになったと聞きました。

この話を聞いた時、私はオペアという仕事の責任の重さを改めて感じました。オペアは海外生活を楽しむ制度でもありますが、同時に、他人の大切な子どもを預かる仕事でもあります。

リマッチというと、「自分が失敗した」「我慢が足りなかった」と感じてしまう人もいるかもしれません。でも、オペアはホストファミリーの家に住み込みで働く制度です。職場であり、生活の場でもあるからこそ、合わない環境に居続けることは大きなストレスになります。

特に、ルール違反がある場合、仕事内容が契約内容と大きく違う場合、十分な休みが取れない場合、精神的につらい状況が続く場合などは、無理に我慢し続ける必要はありません。

もちろん、リマッチを簡単にすすめたいわけではありません。まずは話し合い、担当者にも相談し、それでも改善が難しい場合の選択肢として考えるのが良いと思います。

大切なのは、「合わない環境で我慢し続けることが正解ではない」と知っておくことです。ホストファミリーとの相性は、オペア生活の満足度に大きく関わります。だからこそ、自分を責めすぎず、必要な時には環境を変える勇気も持っていてほしいと思います。

未来のオペアさんへ

ここまで読んでいただき、ありがとうございます。

私はアメリカから帰国してもう10年以上になりますが、今でもホストファミリーとの交流は続いています。それだけでなく、当時出会ったオペア仲間とも、今でもつながっています。

振り返ると、あの2年間で得たものは本当に大きかったと思います。

英語力や海外経験だけではありません。ホストファミリーとの生活、子どもたちとの関わり、文化の違いに戸惑ったこと、自分の未熟さに気づいたこと、うまくいかなくて悩んだこと。その一つひとつが、今の私を作ってくれたように感じています。

もちろん、海外に行けば誰でも人生が変わるとか、留学した人が特別だと言いたいわけではありません。オペアにも大変なことはありますし、向き不向きもあります。

それでも、もしあなたが少しでもオペアに興味を持っているなら、私はぜひ一歩踏み出してみてほしいと思います。

知らない国で、知らない家族と暮らし、子どもたちと向き合いながら過ごす日々は、楽しいことばかりではないかもしれません。でも、その経験はきっと、あなたの考え方や生き方に大きな影響を与えてくれるはずです。

私にとってオペアの2年間は、今振り返っても、人生の中でかけがえのない時間でした。

未来のオペアさんにとっても、その経験が大きな学びと出会いにつながることを願っています。

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